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ShogoHirasawa committed Jan 4, 2024
1 parent aab2b58 commit 084a53b
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Expand Up @@ -431,11 +431,11 @@ dnsmasqは,ネットワーク上のデバイスに対してDNSサーバーの
(表5ハザードマップをほとんど利用しない参加者の回答)
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年に1回定期的にハザードマップを閲覧する参加者が1名おり,回答があったそれ以外の参加者は,1度もしくは1度もハザードマップを閲覧したことがない結果となった.このことから,デジタルマップを利用する機会はあるが,ハザードマップの利用は日常的にほとんどない層が大部分を占める検証となった
年に1回定期的にハザードマップを閲覧する参加者が1名おり,回答があったそれ以外の参加者は,1度もしくは1度もハザードマップを閲覧したことがない結果となった.このことから,デジタルマップを利用する機会はあるが,ハザードマップの利用は日常的にほとんどない層が大部分を占める検証となることがわかる

####4.3.3調査結果

本節では,文京区周辺の2Dの標高表現と陰影起伏を加えたハザードマップと同じく文京区周辺の3Dの標高表現と陰影起伏のハザードマップを見比べて得られた参加者の回答を示す.はじめに,2Dの標高表現と陰影起伏を加えたハザードマップを閲覧してどの地域を危険だと認識したかを示し,その後3Dハザードマップではどこを認識したかを述べる.参加者が危険地帯を指摘する際には,具体的に地名や町丁目名といった特定の箇所を指定する回答のみならず,浸水域全般といった広い地域を指す回答も許容するものとした.最後に,2Dと3Dを見比べた上危険地帯の認識にどのような影響があったについての参加者の回答をまとめる.まず,2Dの標高表現と陰影起伏を加えたハザードマップを閲覧した上で得られた回答を表6に示す.結果を見ると,参加者全員が浸水予想域全般を危険地帯と認識していた.浸水予想域に囲まれている地域や浸水予想域の中でも河川に近い土地を危険地帯だと認識する参加者もいた.一方で,低地と傾斜地を危険地帯だと認識している回答は1名のみであった.
本節では,文京区周辺の2Dの標高表現と陰影起伏を加えたハザードマップと同じく文京区周辺の3Dの標高表現と陰影起伏のハザードマップを見比べて得られた参加者の回答を示す.はじめに,2Dの標高表現と陰影起伏を加えたハザードマップを閲覧してどの地域を危険だと認識したかを示し,その後3Dハザードマップではどこを認識したかを述べる.参加者が危険地帯を指摘する際には,具体的に地名や町丁目名といった特定の箇所を指定する回答のみならず,浸水域全般といった広い地域を指す回答も許容するものとした.最後に,2Dと3Dを見比べた上危険地帯の認識にどのような影響があったかについての参加者の回答をまとめる.まず,2Dの標高表現と陰影起伏を加えたハザードマップを閲覧した上で得られた回答を表6に示す.結果を見ると,参加者全員が浸水予想域全般を危険地帯と認識していた.浸水予想域に囲まれている地域や浸水予想域の中でも河川に近い土地を危険地帯だと認識する参加者もいた.一方で,低地と傾斜地を危険地帯だと認識している回答は1名のみであった.

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<imgwidth="600"alt="image"src="https://github.com/ShogoHirasawa/2023-syuron/assets/29940264/ae0aa8fe-51ab-4c74-81a5-a5797b2ec04d">
Expand Down Expand Up @@ -474,7 +474,7 @@ dnsmasqは,ネットワーク上のデバイスに対してDNSサーバーの
本研究の目的は,洪水被害発生時に通信インフラがダウンした状況でも,スマートフォンのブラウザアプリケーションを通じて避難ルートを検討するための情報が掲載された洪水ハザードマップを閲覧可能とするシステムの提案することであった.そのために,Raspberry Pi 4を基盤とした洪水ハザードマップ配信システムを構築するとともに,洪水災害時の危険地帯である低地と傾斜地の認識を可能にするため,標高の3D表現と陰影起伏を加えた地図デザインを設計した.本システムが洪水災害時のネットワーク障害が発生している際に,求められる機能を満たしているかを確かめるため,検証1と検証2を行った.その結果,本システム次の3つの機能性を有していることが示された.

-稼働時間について
本システムの稼働可能時間は5000mAのモバイルバッテリーでは約2694分(約44.9時間),10000mAでは約5388分(約89.8時間)である.これは内閣府防災情報(2018)が定義する洪水災害時の避難に要する想定時間を超える稼働時間であり,避難にかかる時間以上に稼働することを示せるものである.
本システムの稼働可能時間は10000mAのモバイルバッテリー利用時で1232分(20時間32分)であった.これは内閣府防災情報(2018)が定義する洪水災害時の避難に要する想定時間を超える稼働時間であり,避難にかかる時間以上に稼働することを示せるものである.

-ページの表示スピードについて
Webページのパフォーマンスを評価するFirstContentfulPaint(FCP),LargestContentfulPaint(LCP),TimetoInteractive(TTI)と呼ばれる3つの指標において,本システムは全ての指標において最高位の基準を満たす数値を示せた.よって,オフライン環境下であっても十分な速度でハザードマップを描画できることを確認できた.
Expand All @@ -499,15 +499,15 @@ Raspberry Pi 4を基盤とした,ハザードマップをイントラネット

####5.3本研究の意義

本研究の学術的な貢献はまず,洪水災害時におけるインターネット障害の実情と現行のハザードマップの表現手法およびを整理した上で,現行のハザードマップの補完すべき要因を整理した点である.避難時には低地と傾斜地の把握が重要であるのも関わらず,現行のハザードマップではこれらの認識が難しいことがわかった.この問題に対し,標高の3D表現を用いて低地及び傾斜地の認識に有効である地図デザインを開発した点に新規性と独自性があると考えられる.次に,本研究によって開発したシステムを利用することで,災害時におけるインターネット障害が発生した際に,従来の紙媒体ではなくデジタル地図の選択肢を提示できたことは学術的な貢献があるといえる.さらに,本研究を通じて洪水の流速および上流,下流の認識についてとオフライン時のハザードマップ利用に関する示唆が得られた.以下で2点の示唆について呈示する.
本研究の学術的な貢献はまず,洪水災害時におけるインターネット障害の実情と現行のハザードマップの表現手法およびを整理した上で,現行のハザードマップの補完すべき要因を整理した点である.避難時には低地と傾斜地の把握が重要であるのも関わらず,現行のハザードマップではこれらの認識が難しいことがわかった.この問題に対し,標高の3D表現を用いて低地及び傾斜地の認識に有効である地図デザインを開発した点に新規性と独自性があると考えられる.次に,本研究によって開発したシステムを利用することで,災害時におけるインターネット障害が発生した際に,従来の紙媒体ではなくデジタル地図の選択肢を提示できたことは学術的な貢献があるといえる.さらに,本研究を通じて洪水流速の認識について,オフライン時のハザードマップ利用に関する示唆が得られた.以下で2点の示唆について呈示する.

####5.3.1濁流速度の認識の向上

洪水ハザードマップに掲載されている浸水域や浸水深は,ある一定の条件下でのシュミレーション結果であり,避難者はハザードマップの情報と現場の状況を踏まえて避難計画を練る必要がある.浸水域や浸水深の情報のみならず,流速を把握することでより綿密な検討が行える.しかし,既存のハザードマップでは流速の認識のために効果的な可視化表現を行っているとは言えない.一般的には流速の認識を促すために,ハザードマップ上に最大予想流速を数値で記載される(李瑾・周霏,2020).濁流被害に関して知識や経験がある者であれば,数値の記載のみで被害想定を行うことが可能かもしれないが,そうでない人々にとっては数値から被害レベルをイメージすることは困難であると予想される.本研究を通じて,標高の3D表現により土地の高低差と斜度の可視化を行い,利用者に流速の速さのイメージを訴求できる可能性が示唆された.3Dで表現することで,立体的に斜度を把握することが可能になり急勾配の地域が可視化された.急勾配は水の流れが早いという感覚から,穏やかな傾斜と急勾配を比較し流水速度をイメージできるのだろう.本研究で得た示唆を活かすことで,既存の数値表現と本研究で提示した3D手法を組み合わせ,より効果的な濁流速度の表現が可能となるかもしれない.これは,片田ほか(2004)が指摘している,避難者に濁流の速度を利用者が認識できていない課題に対する1つの解決策として提案することができると考える
洪水ハザードマップに掲載されている浸水域や浸水深は,ある一定の条件下でのシュミレーション結果であり,避難者はハザードマップの情報と現場の状況を踏まえて避難計画を練る必要がある.浸水域や浸水深の情報のみならず,流速を把握することでより綿密な検討が行える.しかし,既存のハザードマップでは流速の認識のために効果的な可視化表現を行っているとは言えない.一般的には流速の認識を促すために,ハザードマップ上に最大予想流速を数値で記載される(李瑾・周霏,2020).濁流被害に関して知識や経験がある者であれば,数値の記載のみで被害想定を行うことが可能かもしれないが,そうでない人々にとっては数値から被害レベルをイメージすることは困難であると予想される.本研究を通じて,標高の3D表現により土地の高低差と斜度の可視化を行い,利用者に流速の速さのイメージを訴求できる可能性が示唆された.3Dで表現することで,立体的に斜度を把握することが可能になり急勾配の地域が可視化された.急勾配は水の流れが早いという感覚から,穏やかな傾斜と急勾配を比較し流水速度をイメージできるのだろう.本研究で得た示唆を活かすことで,既存の数値表現と本研究で提示した3D手法を組み合わせ,より効果的な濁流速度の表現が可能となるかもしれない.これは,片田ほか(2004)が指摘している,避難者に濁流の速度を利用者が認識できていない課題に対する1つの解決策として提案することが可能と考える

####5.3.2オフライン時のハザードマップ利用に関する示唆

各世帯でハザードマップを保管している場合,避難者は発災時にそれを取り出し避難を検討することができる.一方,ハザードマップを保管していない場合,避難者は自治体のWebページにアクセスし,ハザードマップを閲覧もしくはダウンロードを行うフローが想定される.金井ほか(2017)はハザードマップの保有世帯を6.9%と推定している.これを踏まえると過半数以上の世帯は発災時にハザードマップが手元にない状態となる.数多くの世帯がハザードマップを保有していないことを踏まえ,インターネット障害が起きておらず接続で可能な状態であっても,一度に大勢が被災地帯のハザードマップにアクセスしようとすると,サーバー側のキャパシティを超え,アクセスが難しい状態となる.2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の被災地である輪島市と珠洲市の津波ハザードマップにおいて,発災直後にはサイトにアクセスできない状態が発生した.執筆期間と発災時期が非常に近かったこともあり,執筆時点ではアクセスができなかった要因は公式に発表されてはいないが,自治体のサーバーが想定するアクセス数を超えたことが理由であると考えられる.筆者は発災直後にCheckIfDownと呼ばれるサービスを用いて,被災地のハザードマップへのアクセスについて検証を行った.CheckIfDownは特定のウェブサイトのアクセシビリティを判定するために設計されたツールであり,サーバー側に障害が発生しているかを確認することができる.輪島市が公開する津波ハザードマップに対し,1月1日(月)16:50頃アクセスを試みたがサーバーがダウンしている表示となった(図33).また,珠洲市も同様に,Web上で公開される津波ハザードマップに対して1月1日(月)16:58頃アクセスしたが,ページを表示することはできなかった(図34).
各世帯でハザードマップを保管している場合,避難者は発災時にそれを取り出し避難を検討することができる.一方,ハザードマップを保管していない場合,避難者は自治体のWebページにアクセスし,ハザードマップを閲覧もしくはダウンロードを行うフローが想定される.金井ほか(2017)はハザードマップの保有世帯を6.9%と推定している.これを踏まえると過半数以上の世帯は発災時にハザードマップが手元にない状態となる.大半の世帯がハザードマップを保有していないことを踏まえ,インターネット障害が起きておらず接続で可能な状態であっても,一度に大勢が被災地帯のハザードマップにアクセスしようとすると,サーバー側のキャパシティを超え,アクセスが難しい状態となる.2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の被災地である輪島市と珠洲市の津波ハザードマップにおいて,発災直後にはサイトにアクセスできない状態が発生した.執筆期間と発災時期が非常に近かったこともあり,執筆時点ではアクセスができなかった要因は公式に発表されてはいないが,自治体のサーバーが想定するアクセス数を超えたことが理由であると考えられる.筆者は発災直後にCheckIfDownと呼ばれるサービスを用いて,被災地のハザードマップへのアクセスについて検証を行った.CheckIfDownは特定のウェブサイトのアクセシビリティを判定するために設計されたツールであり,サーバー側に障害が発生しているかを確認することができる.輪島市が公開する津波ハザードマップに対し,1月1日(月)16:50頃アクセスを試みたがサーバーがダウンしている表示となった(図33).また,珠洲市も同様に,Web上で公開される津波ハザードマップに対して1月1日(月)16:58頃アクセスしたが,ページを表示することはできなかった(図34).

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<imgwidth="600"alt="image"src="https://github.com/ShogoHirasawa/2023-syuron/assets/29940264/117894fa-d9c2-405c-9367-447ec217e70a">
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####5.5.今後の研究展開

本研究を通じて,既往研究において課題とされていた濁流速度の可視化表現について,その解決策となる示唆を提示できた.一方で,本研究の限界である,避難行動に関する検証についても論じた.災害発生時には危険地帯の認識のみならず,そこから実際に避難することが重要とされるが,本システムでは,利用者に危険地帯の認識させることで留まっており,避難者に対し危険地帯を考慮した具体的な避難ルートの提示までは行えていない.上記の2点を踏まえて,本節では本研究の将来的な発展可能性を示す.
本研究を通じて,既往研究において課題とされていた濁流速度の可視化表現について,その解決策となる示唆を提示できた.一方で,本研究の限界である,避難行動に関する検証についても論じてきた.災害発生時には危険地帯の認識のみならず,そこから実際に避難することが重要とされるが,本システムでは,利用者に危険地帯の認識させることで留まっており,避難者に対し危険地帯を考慮した具体的な避難ルートの提示までは行えていない.上記の2点を踏まえて,本節では本研究の将来的な発展可能性を示す.

#####5.5.1濁流速度の可視化手法の発展について

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(図35ProjectPLATEAU(国土交通省)『高度な浸水シミュレーション』から引用(URL:https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc22-009/))
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本事例の検証結果によると,利用者が流速を考慮して経路検討を行うことが可能になったと示されている.将来的な研究では,この可視化手法を加えることで,より高度な流水速度の表現が可能となるであろう.本研究を素地に流水の表現を改良することで,避難者に対して低地,傾斜地のみならず流水速度の認識を促すことができると考える.
本事例の検証結果を見ると,利用者が流速を考慮して経路検討を行うことが可能になったと示されている.将来的な研究では,この可視化手法を加えることで,より高度な流水速度の表現が可能になると予想する.本研究を素地に流水の表現を改良することで,避難者に対して低地,傾斜地のみならず流水速度の認識を促すことができると考える.

#####5.5.2現在位置情報の表示について

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