Copyright (C) 2001-2003, 2005, 2006 Toshiaki Katayama <[email protected]>
Copyright (C) 2005, 2006 Naohisa Goto <[email protected]>
BioRuby は国産の高機能オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby のためのオープンソースなバイオインフォマティクス用ライブラリです。
Ruby 言語は Perl 言語ゆずりの強力なテキスト処理と、シンプルで分かりやすい文法、クリアなオブジェクト指向機能により、広く使われるようになりました。Ruby について詳しくは、ウェブサイトhttp://www.ruby-lang.org/ や市販の書籍等を参照してください。
BioRuby を使用するには Ruby と BioRuby をインストールする必要があります。
Ruby は Mac OS X や最近の UNIX には通常インストールされています。 Windows の場合も1クリックインストーラや ActiveScriptRuby などが用意されています。まだインストールされていない場合は
などを参考にしてインストールしましょう。
あなたのコンピュータにどのバージョンの Ruby がインストールされているかをチェックするには
% ruby -v
とコマンドを入力してください。すると、たとえば
ruby 1.8.2 (2004-12-25) [powerpc-darwin7.7.0]
のような感じでバージョンが表示されます。バージョン 1.8.5 以降をお勧めします。
Ruby 標準装備のクラスやメソッドについては、Ruby のリファレンスマニュアルを参照してください。
コマンドラインでヘルプを参照するには、Ruby 標準添付の ri コマンドや、日本語版の refe コマンドが便利です。
RubyGems のページから最新版をダウンロードします。
展開してインストールします。
% tar zxvf rubygems-x.x.x.tar.gz
% cd rubygems-x.x.x
% ruby setup.rb
BioRuby のインストール方法は http://bioruby.org/archive/ から最新版を取得して以下のように行います(※1)。同梱されている README ファイルにも目を通して頂きたいのですが、慣れないと1日がかりになる BioPerl と比べて BioRuby のインストールはすぐに終わるはずです。
% wget http://bioruby.org/archive/bioruby-x.x.x.tar.gz
% tar zxvf bioruby-x.x.x.tar.gz
% cd bioruby-x.x.x
% su
# ruby setup.rb
RubyGems が使える環境であれば
% gem install bio
だけでインストールできます。このあと README ファイルに書かれているように
bioruby-x.x.x/etc/bioinformatics/seqdatabase.ini
というファイルをホームディレクトリの ~/.bioinformatics にコピーしておくとよいでしょう。RubyGems の場合は
/usr/local/lib/ruby/gems/1.8/gems/bio-x.x.x/
などにあるはずです。
% mkdir ~/.bioinformatics
% cp bioruby-x.x.x/etc/bioinformatics/seqdatabase.ini ~/.bioinformatics
また、Emacs エディタを使う人は Ruby のソースに同梱されている misc/ruby-mode.el をインストールしておくとよいでしょう。
% mkdir -p ~/lib/lisp/ruby
% cp ruby-x.x.x/misc/ruby-mode.el ~/lib/lisp/ruby
などとしておいて、~/.emacs に以下の設定を書き足します。
; subdirs の設定
(let ((default-directory "~/lib/lisp"))
(normal-top-level-add-subdirs-to-load-path)
; ruby-mode の設定
(autoload 'ruby-mode "ruby-mode" "Mode for editing ruby source files")
(add-to-list 'auto-mode-alist '("\\.rb$" . rd-mode))
(add-to-list 'interpeter-mode-alist '("ruby" . ruby-mode))
BioRuby バージョン 0.7 以降では、簡単な操作は BioRuby と共にインストールされる bioruby コマンドで行うことができます。bioruby コマンドは Ruby に内蔵されているインタラクティブシェル irb を利用しており、Ruby と BioRuby にできることは全て自由に実行することができます。
% bioruby project1
引数で指定した名前のディレクトリが作成され、その中で解析を行います。上記の例の場合 project1 というディレクトリが作成され、さらに以下のサブディレクトリやファイルが作られます。
data/ ユーザの解析ファイルを置く場所
plugin/ 必要に応じて追加のプラグインを置く場所
session/ 設定やオブジェクト、ヒストリなどが保存される場所
session/config ユーザの設定を保存したファイル
session/history ユーザの入力したコマンドのヒストリを保存したファイル
session/object 永続化されたオブジェクトの格納ファイル
このうち、data ディレクトリはユーザが自由に書き換えて構いません。また、session/history ファイルを見ると、いつどのような操作を行ったかを確認することができます。
2回目以降は、初回と同様に
% bioruby project1
として起動しても構いませんし、作成されたディレクトリに移動して
% cd project1
% bioruby
のように引数なしで起動することもできます。
この他、script コマンドで作成されるスクリプトファイルや、 web コマンドで作成される Rails のための設定ファイルなどがありますが、それらについては必要に応じて後述します。
BioRuby シェルではデフォルトでいくつかの便利なライブラリを読み込んでいます。例えば readline ライブラリが使える環境では Tab キーでメソッド名や変数名が補完されるはずです。open-uri, pp, yaml なども最初から読み込まれています。
- getseq(str)
getseq コマンド(※2)を使って文字列から塩基配列やアミノ酸配列を作ることができます。塩基とアミノ酸は ATGC の含量が 90% 以上かどうかで自動判定されます。ここでは、できた塩基配列を dna という変数に代入します。
bioruby> dna = getseq("atgcatgcaaaa")
変数の中身を確認するには Ruby の puts メソッドを使います。
bioruby> puts dna
atgcatgcaaaa
ファイル名を引数に与えると手元にあるファイルから配列を得ることもできます。 GenBank, EMBL, UniProt, FASTA など主要な配列フォーマットは自動判別されます(拡張子などのファイル名ではなくエントリの中身で判定します)。以下は UniProt フォーマットのエントリをファイルから読み込んでいます。この方法では、複数のエントリがある場合最初のエントリだけが読み込まれます。
bioruby> cdc2 = getseq("p04551.sp")
bioruby> puts cdc2
MENYQKVEKIGEGTYGVVYKARHKLSGRIVAMKKIRLEDESEGVPSTAIREISLLKEVNDENNRSN...(略)
データベース名とエントリ名が分かっていれば、インターネットを通じて配列を自動的に取得することができます。
bioruby> psaB = getseq("genbank:AB044425")
bioruby> puts psaB
actgaccctgttcatattcgtcctattgctcacgcgatttgggatccgcactttggccaaccagca...(略)
どこのデータベースからどのような方法でエントリを取得するかは、BioPerl などと共通の OBDA 設定ファイル ~/.bioinformatics/seqdatabase.ini を用いてデータベースごとに指定することができます(後述)。また、EMBOSS の seqret コマンドによる配列取得にも対応していますので、 EMBOSS の USA 表記でもエントリを取得できます。EMBOSS のマニュアルを参照し ~/.embossrc を適切に設定してください。
どの方法で取得した場合も、getseq コマンドによって返される配列は、汎用の配列クラス Bio::Sequence になります(※3)。
配列が塩基配列とアミノ酸配列のどちらと判定されているのかは、 moltype メソッドを用いて
bioruby> p cdc2.moltype
Bio::Sequence::AA
bioruby> p psaB.moltype
Bio::Sequence::NA
のように調べることができます。自動判定が間違っている場合などには na, aa メソッドで強制的に変換できます。なお、これらのメソッドは元のオブジェクトを強制的に書き換えます。
bioruby> dna.aa
bioruby> p dna.moltype
Bio::Sequence::AA
bioruby> dna.na
bioruby> p dna.moltype
Bio::Sequence::NA
または、to_naseq, to_aaseq メソッドで強制的に変換することもできます。
bioruby> pep = dna.to_aaseq
to_naseq, to_aaseq メソッドの返すオブジェクトは、それぞれ、 DNA 配列のための Bio::Sequence::NA クラス、アミノ酸配列のための Bio::Sequence::AA クラスのオブジェクトになります。配列がどちらのクラスに属するかは Ruby の class メソッドを用いて
bioruby> p pep.class
Bio::Sequence::AA
のように調べることができます。
強制的に変換せずに、Bio::Sequence::NA クラスまたは Bio::sequence::AA クラスのどちらかのオブジェクトを得たい場合には seq メソッドを使います(※4)。
bioruby> pep2 = cdc2.seq
bioruby> p pep2.class
Bio::Sequence::AA
また、以下で解説する complement や translate などのメソッドの結果は、塩基配列を返すことが期待されるメソッドは Bio::Sequence::NA クラス、アミノ酸配列を返すことが期待されるメソッドは Bio::sequence::AA クラスのオブジェクトになります。
塩基配列やアミノ酸配列のクラスは Ruby の文字列クラスである String を継承しています。また、Bio::Sequence クラスのオブジェクトは String のオブジェクトと見かけ上同様に働くように工夫されています。このため、 length で長さを調べたり、+ で足し合わせたり、* で繰り返したりなど、 Ruby の文字列に対して行える操作は全て利用可能です。このような特徴はオブジェクト指向の強力な側面の一つと言えるでしょう。
bioruby> puts dna.length
12
bioruby> puts dna + dna
atgcatgcaaaaatgcatgcaaaa
bioruby> puts dna * 5
atgcatgcaaaaatgcatgcaaaaatgcatgcaaaaatgcatgcaaaaatgcatgcaaaa
- complement
塩基配列の相補鎖配列を得るには塩基配列の complement メソッドを呼びます。
bioruby> puts dna.complement
ttttgcatgcat
- translate
塩基配列をアミノ酸配列に翻訳するには translate メソッドを使います。翻訳されたアミノ酸配列を pep という変数に代入してみます。
bioruby> pep = dna.translate
bioruby> puts pep
MHAK
フレームを変えて翻訳するには
bioruby> puts dna.translate(2)
CMQ
bioruby> puts dna.translate(3)
ACK
などとします。
- molecular_weight
分子量は molecular_weight メソッドで表示されます。
bioruby> puts dna.molecular_weight
3718.66444
bioruby> puts pep.molecular_weight
485.605
- seqstat(seq)
seqstat コマンドを使うと、組成などの情報も一度に表示されます。
bioruby> seqstat(dna)
* * * Sequence statistics * * *
5'->3' sequence : atgcatgcaaaa
3'->5' sequence : ttttgcatgcat
Translation 1 : MHAK
Translation 2 : CMQ
Translation 3 : ACK
Translation -1 : FCMH
Translation -2 : FAC
Translation -3 : LHA
Length : 12 bp
GC percent : 33 %
Composition : a - 6 ( 50.00 %)
c - 2 ( 16.67 %)
g - 2 ( 16.67 %)
t - 2 ( 16.67 %)
Codon usage :
*---------------------------------------------*
| | 2nd | |
| 1st |-------------------------------| 3rd |
| | U | C | A | G | |
|-------+-------+-------+-------+-------+-----|
| U U |F 0.0%|S 0.0%|Y 0.0%|C 0.0%| u |
| U U |F 0.0%|S 0.0%|Y 0.0%|C 0.0%| c |
| U U |L 0.0%|S 0.0%|* 0.0%|* 0.0%| a |
| UUU |L 0.0%|S 0.0%|* 0.0%|W 0.0%| g |
|-------+-------+-------+-------+-------+-----|
| CCCC |L 0.0%|P 0.0%|H 25.0%|R 0.0%| u |
| C |L 0.0%|P 0.0%|H 0.0%|R 0.0%| c |
| C |L 0.0%|P 0.0%|Q 0.0%|R 0.0%| a |
| CCCC |L 0.0%|P 0.0%|Q 0.0%|R 0.0%| g |
|-------+-------+-------+-------+-------+-----|
| A |I 0.0%|T 0.0%|N 0.0%|S 0.0%| u |
| A A |I 0.0%|T 0.0%|N 0.0%|S 0.0%| c |
| AAAAA |I 0.0%|T 0.0%|K 25.0%|R 0.0%| a |
| A A |M 25.0%|T 0.0%|K 0.0%|R 0.0%| g |
|-------+-------+-------+-------+-------+-----|
| GGGG |V 0.0%|A 0.0%|D 0.0%|G 0.0%| u |
| G |V 0.0%|A 0.0%|D 0.0%|G 0.0%| c |
| G GGG |V 0.0%|A 25.0%|E 0.0%|G 0.0%| a |
| GG G |V 0.0%|A 0.0%|E 0.0%|G 0.0%| g |
*---------------------------------------------*
Molecular weight : 3718.66444
Protein weight : 485.605
//
アミノ酸配列の場合は以下のようになります。
bioruby> seqstat(pep)
* * * Sequence statistics * * *
N->C sequence : MHAK
Length : 4 aa
Composition : A Ala - 1 ( 25.00 %) alanine
H His - 1 ( 25.00 %) histidine
K Lys - 1 ( 25.00 %) lysine
M Met - 1 ( 25.00 %) methionine
Protein weight : 485.605
//
- composition
seqstat の中で表示されている組成は composition メソッドで得ることができます。結果が文字列ではなく Hash で返されるので、とりあえず表示してみる場合には puts の代わりに p コマンドを使うと良いでしょう。
bioruby> p dna.composition
{"a"=>6, "c"=>2, "g"=>2, "t"=>2}
他にも塩基配列、アミノ酸配列に対して行える操作は色々とあります。
- subseq(from, to)
部分配列を取り出すには subseq メソッドを使います。
bioruby> puts dna.subseq(1, 3)
atg
Ruby など多くのプログラミング言語の文字列は 1 文字目を 0 から数えますが、 subseq メソッドは 1 から数えて切り出せるようになっています。
bioruby> puts dna[0, 3]
atg
Ruby の String クラスが持つ slice メソッド str[] と適宜使い分けるとよいでしょう。
- window_search(len, step)
window_search メソッドを使うと長い配列の部分配列毎の繰り返しを簡単に行うことができます。DNA 配列をコドン毎に処理する場合、3文字ずつずらしながら3文字を切り出せばよいので以下のようになります。
bioruby> dna.window_search(3, 3) do |codon|
bioruby+ puts "#{codon}\t#{codon.translate}"
bioruby+ end
atg M
cat H
gca A
aaa K
ゲノム配列を、末端 1000bp をオーバーラップさせながら 11000bp ごとにブツ切りにし FASTA フォーマットに整形する場合は以下のようになります。
bioruby> seq.window_search(11000, 10000) do |subseq|
bioruby+ puts subseq.to_fasta
bioruby+ end
最後の 10000bp に満たない 3' 端の余り配列は返り値として得られるので、必要な場合は別途受け取って表示します。
bioruby> i = 1
bioruby> remainder = seq.window_search(11000, 10000) do |subseq|
bioruby+ puts subseq.to_fasta("segment #{i*10000}", 60)
bioruby+ i += 1
bioruby+ end
bioruby> puts remainder.to_fasta("segment #{i*10000}", 60)
- splicing(position)
塩基配列の GenBank 等の position 文字列による切り出しは splicing メソッドで行います。
bioruby> puts dna
atgcatgcaaaa
bioruby> puts dna.splicing("join(1..3,7..9)")
atggca
- randomize
randomize メソッドは、配列の組成を保存したままランダム配列を生成します。
bioruby> puts dna.randomize
agcaatagatac
- to_re
to_re メソッドは、曖昧な塩基の表記を含む塩基配列を atgc だけのパターンからなる正規表現に変換します。
bioruby> ambiguous = getseq("atgcyatgcatgcatgc")
bioruby> p ambiguous.to_re
/atgc[tc]atgcatgcatgc/
bioruby> puts ambiguous.to_re
(?-mix:atgc[tc]atgcatgcatgc)
seq メソッドは ATGC の含有量が 90% 以下だとアミノ酸配列とみなすので、曖昧な塩基が多く含まれる配列の場合は to_naseq メソッドを使って明示的に Bio::Sequence::NA オブジェクトに変換する必要があります。
bioruby> s = getseq("atgcrywskmbvhdn").to_naseq
bioruby> p s.to_re
/atgc[ag][tc][at][gc][tg][ac][tgc][agc][atc][atg][atgc]/
bioruby> puts s.to_re
(?-mix:atgc[ag][tc][at][gc][tg][ac][tgc][agc][atc][atg][atgc])
- names
あまり使うことはありませんが、配列を塩基名やアミノ酸名に変換するメソッドです。
bioruby> p dna.names
["adenine", "thymine", "guanine", "cytosine", "adenine", "thymine",
"guanine", "cytosine", "adenine", "adenine", "adenine", "adenine"]
bioruby> p pep.names
["methionine", "histidine", "alanine", "lysine"]
- codes
アミノ酸配列を3文字コードに変換する names と似たメソッドです。
bioruby> p pep.codes
["Met", "His", "Ala", "Lys"]
- gc_percent
塩基配列の GC 含量は gc_percent メソッドで得られます。
bioruby> p dna.gc_percent
33
- to_fasta
FASTA フォーマットに変換するには to_fasta メソッドを使います。
bioruby> puts dna.to_fasta("dna sequence")
>dna sequence
aaccggttacgt
アミノ酸、塩基、コドンテーブルを得るための aminoacids, nucleicacids, codontables, codontable コマンドを紹介します。
- aminoacids
アミノ酸の一覧は aminoacids コマンドで表示できます。
bioruby> aminoacids
? Pyl pyrrolysine
A Ala alanine
B Asx asparagine/aspartic acid
C Cys cysteine
D Asp aspartic acid
E Glu glutamic acid
F Phe phenylalanine
G Gly glycine
H His histidine
I Ile isoleucine
K Lys lysine
L Leu leucine
M Met methionine
N Asn asparagine
P Pro proline
Q Gln glutamine
R Arg arginine
S Ser serine
T Thr threonine
U Sec selenocysteine
V Val valine
W Trp tryptophan
Y Tyr tyrosine
Z Glx glutamine/glutamic acid
返り値は短い表記と対応する長い表記のハッシュになっています。
bioruby> aa = aminoacids
bioruby> puts aa["G"]
Gly
bioruby> puts aa["Gly"]
glycine
- nucleicacids
塩基の一覧は nucleicacids コマンドで表示できます。
bioruby> nucleicacids
a a Adenine
t t Thymine
g g Guanine
c c Cytosine
u u Uracil
r [ag] puRine
y [tc] pYrimidine
w [at] Weak
s [gc] Strong
k [tg] Keto
m [ac] aroMatic
b [tgc] not A
v [agc] not T
h [atc] not G
d [atg] not C
n [atgc]
返り値は塩基の1文字表記と該当する塩基のハッシュになっています。
bioruby> na = nucleicacids
bioruby> puts na["r"]
[ag]
- codontables
コドンテーブルの一覧は codontables コマンドで表示できます。
bioruby> codontables
1 Standard (Eukaryote)
2 Vertebrate Mitochondrial
3 Yeast Mitochondorial
4 Mold, Protozoan, Coelenterate Mitochondrial and Mycoplasma/Spiroplasma
5 Invertebrate Mitochondrial
6 Ciliate Macronuclear and Dasycladacean
9 Echinoderm Mitochondrial
10 Euplotid Nuclear
11 Bacteria
12 Alternative Yeast Nuclear
13 Ascidian Mitochondrial
14 Flatworm Mitochondrial
15 Blepharisma Macronuclear
16 Chlorophycean Mitochondrial
21 Trematode Mitochondrial
22 Scenedesmus obliquus mitochondrial
23 Thraustochytrium Mitochondrial
返り値はテーブル番号と名前のハッシュになっています。
bioruby> ct = codontables
bioruby> puts ct[3]
Yeast Mitochondorial
- codontable(num)
コドン表自体は codontable コマンドで表示できます。
bioruby> codontable(11)
= Codon table 11 : Bacteria
hydrophilic: H K R (basic), S T Y Q N S (polar), D E (acidic)
hydrophobic: F L I M V P A C W G (nonpolar)
*---------------------------------------------*
| | 2nd | |
| 1st |-------------------------------| 3rd |
| | U | C | A | G | |
|-------+-------+-------+-------+-------+-----|
| U U | Phe F | Ser S | Tyr Y | Cys C | u |
| U U | Phe F | Ser S | Tyr Y | Cys C | c |
| U U | Leu L | Ser S | STOP | STOP | a |
| UUU | Leu L | Ser S | STOP | Trp W | g |
|-------+-------+-------+-------+-------+-----|
| CCCC | Leu L | Pro P | His H | Arg R | u |
| C | Leu L | Pro P | His H | Arg R | c |
| C | Leu L | Pro P | Gln Q | Arg R | a |
| CCCC | Leu L | Pro P | Gln Q | Arg R | g |
|-------+-------+-------+-------+-------+-----|
| A | Ile I | Thr T | Asn N | Ser S | u |
| A A | Ile I | Thr T | Asn N | Ser S | c |
| AAAAA | Ile I | Thr T | Lys K | Arg R | a |
| A A | Met M | Thr T | Lys K | Arg R | g |
|-------+-------+-------+-------+-------+-----|
| GGGG | Val V | Ala A | Asp D | Gly G | u |
| G | Val V | Ala A | Asp D | Gly G | c |
| G GGG | Val V | Ala A | Glu E | Gly G | a |
| GG G | Val V | Ala A | Glu E | Gly G | g |
*---------------------------------------------*
返り値は Bio::CodonTable クラスのオブジェクトで、コドンとアミノ酸の変換ができるだけでなく、以下のようなデータも得ることができます。
bioruby> ct = codontable(2)
bioruby> p ct["atg"]
"M"
- definition
コドン表の定義の説明
bioruby> puts ct.definition
Vertebrate Mitochondrial
- start
開始コドン一覧
bioruby> p ct.start
["att", "atc", "ata", "atg", "gtg"]
- stop
終止コドン一覧
bioruby> p ct.stop
["taa", "tag", "aga", "agg"]
- revtrans
アミノ酸をコードするコドンを調べる
bioruby> p ct.revtrans("V")
["gtc", "gtg", "gtt", "gta"]
データベースのエントリと、フラットファイルそのものを扱う方法を紹介します。 GenBank データベースの中では、ファージのエントリが含まれる gbphg.seq のファイルサイズが小さいので、このファイルを例として使います。
% wget ftp://ftp.hgc.jp/pub/mirror/ncbi/genbank/gbphg.seq.gz
% gunzip gbphg.seq.gz
- getent(str)
getseq コマンドは配列を取得しましたが、配列だけでなくエントリ全体を取得するには getent コマンド(※2)を使います。getseq コマンド同様、getent コマンドでも OBDA, EMBOSS, NCBI, EBI, TogoWS のデータベースが利用可能です(※5)。設定については getseq コマンドの説明を参照してください。
bioruby> entry = getent("genbank:AB044425")
bioruby> puts entry
LOCUS AB044425 1494 bp DNA linear PLN 28-APR-2001
DEFINITION Volvox carteri f. kawasakiensis chloroplast psaB gene for
photosystem I P700 chlorophyll a apoprotein A2,
strain:NIES-732.
(略)
getent コマンドの引数には db:entry_id 形式の文字列、EMBOSS の USA、ファイル、IO が与えられ、データベースの1エントリ分の文字列が返されます。配列データベースに限らず、数多くのデータベースエントリに対応しています。
- flatparse(str)
取得したエントリをパースして欲しいデータをとりだすには flatparse コマンドを使います。
bioruby> entry = getent("gbphg.seq")
bioruby> gb = flatparse(entry)
bioruby> puts gb.entry_id
AB000833
bioruby> puts gb.definition
Bacteriophage Mu DNA for ORF1, sheath protein gpL, ORF2, ORF3, complete cds.
bioruby> puts psaB.naseq
acggtcagacgtttggcccgaccaccgggatgaggctgacgcaggtcagaaatctttgtgacgacaaccgtatcaat
(略)
- getobj(str)
getobj コマンド(※2)は、getent でエントリを文字列として取得し flatparse でパースしたオブジェクトに変換するのと同じです。getent コマンドと同じ引数を受け付けます。配列を取得する時は getseq、エントリを取得する時は getent、パースしたオブジェクトを取得する時は getobj を使うことになります。
bioruby> gb = getobj("gbphg.seq")
bioruby> puts gb.entry_id
AB000833
- flatfile(file)
getent コマンドは1エントリしか扱えないため、ローカルのファイルを開いて各エントリ毎に処理を行うには flatfile コマンドを使います。
bioruby> flatfile("gbphg.seq") do |entry|
bioruby+ # do something on entry
bioruby+ end
ブロックを指定しない場合は、ファイル中の最初のエントリを取得します。
bioruby> entry = flatfile("gbphg.seq")
bioruby> gb = flatparse(entry)
bioruby> puts gb.entry_id
- flatauto(file)
各エントリを flatparse と同様にパースした状態で順番に処理するためには、 flatfile コマンドの代わりに flatauto コマンドを使います。
bioruby> flatauto("gbphg.seq") do |entry|
bioruby+ print entry.entry_id
bioruby+ puts entry.definition
bioruby+ end
flatfile 同様、ブロックを指定しない場合は、ファイル中の最初のエントリを取得し、パースしたオブジェクトを返します。
bioruby> gb = flatfile("gbphg.seq")
bioruby> puts gb.entry_id
EMBOSS の dbiflat に似た機能として、BioRuby, BioPerl などに共通の BioFlat というインデックスを作成する仕組みがあります。一度インデックスを作成しておくとエントリの取り出しが高速かつ容易に行えます。これにより自分専用のデータベースを手軽に作ることができます。
- flatindex(db_name, *source_file_list)
GenBank のファージの配列ファイル gbphg.seq に入っているエントリに対して mydb というデータベース名でインデックスを作成します。
bioruby> flatindex("mydb", "gbphg.seq")
Creating BioFlat index (.bioruby/bioflat/mydb) ... done
- flatsearch(db_name, entry_id)
作成した mydb データベースからエントリをとり出すには flatsearch コマンドを使います。
bioruby> entry = flatsearch("mydb", "AB004561")
bioruby> puts entry
LOCUS AB004561 2878 bp DNA linear PHG 20-MAY-1998
DEFINITION Bacteriophage phiU gene for integrase, complete cds, integration
site.
ACCESSION AB004561
(略)
FASTA フォーマットは配列データで標準的に用いられているフォーマットです。「>」記号ではじまる1行目に配列の説明があり、2行目以降に配列がつづきます。配列中の空白文字は無視されます。
>entry_id definition ...
ACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGT
ACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGTACGT
配列の説明行は、最初の単語が配列の ID になっていることが多いのですが、 NCBI の BLAST 用データベースではさらに高度な構造化がおこなわれています。
- ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/documents/README.formatdb
- http://blast.wustl.edu/doc/FAQ-Indexing.html#Identifiers
- FASTA format (Wikipedia) http://en.wikipedia.org/wiki/Fasta_format
BioRuby のデータベースエントリのクラスにはエントリID、配列、定義について共通のメソッドが用意されています。
- entry_id - エントリ ID を取得
- definition - 定義文を取得
- seq - 配列を取得
これらの共通メソッドを使うと、どんな配列データベースエントリでも FASTA フォーマットに変換できるプログラムが簡単に作れます。
entry.seq.to_fasta("#{entry.entry_id} #{entry.definition}", 60)
さらに、BioRuby では入力データベースの形式を自動判別できますので、 GenBank, UniProt など多くの主要な配列データベースではファイル名を指定するだけで FASTA フォーマットに変換できます。
- flatfasta(fasta_file, *source_file_list)
入力データベースのファイル名のリストから、指定した FASTA フォーマットのファイルを生成するコマンドです。ここではいくつかの GenBank のファイルを FASTA フォーマットに変換し、myfasta.fa というファイルに保存しています。
bioruby> flatfasta("myfasta.fa", "gbphg.seq", "gbvrl1.seq", "gbvrl2.seq")
Saving fasta file (myfasta.fa) ...
converting -- gbphg.gbk
converting -- gbvrl1.gbk
converting -- gbvrl2.gbk
done
作業手順をスクリプト化して保存しておくこともできます。
bioruby> script
-- 8< -- 8< -- 8< -- Script -- 8< -- 8< -- 8< --
bioruby> seq = getseq("gbphg.seq")
bioruby> p seq
bioruby> p seq.translate
bioruby> script
-- >8 -- >8 -- >8 -- Script -- >8 -- >8 -- >8 --
Saving script (script.rb) ... done
生成された script.rb は以下のようになります。
#!/usr/bin/env bioruby
seq = getseq("gbphg.seq")
p seq
p seq.translate
このスクリプトは bioruby コマンドで実行することができます。
% bioruby script.rb
- cd(dir)
カレントディレクトリを変更します。
bioruby> cd "/tmp"
"/tmp"
ホームディレクトリに戻るには引数をつけずに cd を実行します。
bioruby> cd
"/home/k"
- pwd
カレントディレクトリを表示します。
bioruby> pwd
"/home/k"
- dir
カレントディレクトリのファイルを一覧表示します。
bioruby> dir
UGO Date Byte File
------ ---------------------------- ----------- ------------
40700 Tue Dec 06 07:07:35 JST 2005 1768 "Desktop"
40755 Tue Nov 29 16:55:20 JST 2005 2176 "bin"
100644 Sat Oct 15 03:01:00 JST 2005 42599518 "gbphg.seq"
(略)
bioruby> dir "gbphg.seq"
UGO Date Byte File
------ ---------------------------- ----------- ------------
100644 Sat Oct 15 03:01:00 JST 2005 42599518 "gbphg.seq"
- head(file, lines = 10)
テキストファイルやオブジェクトの先頭 10 行を表示します。
bioruby> head "gbphg.seq"
GBPHG.SEQ Genetic Sequence Data Bank
October 15 2005
NCBI-GenBank Flat File Release 150.0
Phage Sequences
2713 loci, 16892737 bases, from 2713 reported sequences
表示する行数を指定することもできます。
bioruby> head "gbphg.seq", 2
GBPHG.SEQ Genetic Sequence Data Bank
October 15 2005
テキストの入っている変数の先頭を見ることもできます。
bioruby> entry = getent("gbphg.seq")
bioruby> head entry, 2
GBPHG.SEQ Genetic Sequence Data Bank
October 15 2005
- disp(obj)
テキストファイルやオブジェクトの中身をページャーで表示します。ここで使用するページャーは pager コマンドで変更することができます(後述)。
bioruby> disp "gbphg.seq"
bioruby> disp entry
bioruby> disp [1, 2, 3] * 4
- ls
セッション中に作成した変数(オブジェクト)の一覧を表示します。
bioruby> ls
["entry", "seq"]
bioruby> a = 123
["a", "entry", "seq"]
- rm(symbol)
変数を消去します。
bioruby> rm "a"
bioruby> ls
["entry", "seq"]
- savefile(filename, object)
変数に保存されている内容をテキストファイルに保存します。
bioruby> savefile "testfile.txt", entry
Saving data (testfile.txt) ... done
bioruby> disp "testfile.txt"
永続化の仕組みとして BioRuby シェル終了時に session ディレクトリ内にヒストリ、オブジェクト、個人の設定が保存され、次回起動時に自動的に読み込まれます。
- config
BioRuby シェルの各種設定を表示します。
bioruby> config
message = "...BioRuby in the shell..."
marshal = [4, 8]
color = false
pager = nil
echo = false
echo 表示するかどうかを切り替えます。on の場合は、puts や p などをつけなくても評価した値が画面に表示されます。 irb コマンドの場合は初期設定が on になっていますが、bioruby コマンドでは長い配列やエントリなど長大な文字列を扱うことが多いため、初期設定では off にしています。
bioruby> config :echo
Echo on
==> nil
bioruby> config :echo
Echo off
コドン表など、可能な場合にカラー表示するかどうかを切り替えます。カラー表示の場合、プロンプトにも色がつきますので判別できます。
bioruby> config :color
bioruby> codontable
(色付き)
実行するたびに設定が切り替わります。
bioruby> config :color
bioruby> codontable
(色なし)
BioRuby シェル起動時に表示されるスプラッシュメッセージを違う文字列に変更します。何の解析プロジェクト用のディレクトリかを指定しておくのもよいでしょう。
bioruby> config :message, "Kumamushi genome project"
K u m a m u s h i g e n o m e p r o j e c t
Version : BioRuby 0.8.0 / Ruby 1.8.4
デフォルトの文字列に戻すには、引数なしで実行します。
bioruby> config :message
BioRuby シェル起動時に表示されるスプラッシュメッセ−ジをアニメーション表示するかどうかを切り替えます。こちらも実行するたびに設定が切り替わります。
bioruby> config :splash
Splash on
- pager(command)
disp コマンドで実際に利用するページャーを切り替えます。
bioruby> pager "lv"
Pager is set to 'lv'
bioruby> pager "less -S"
Pager is set to 'less -S'
ページャーを使用しない設定にする場合は引数なしで実行します。
bioruby> pager
Pager is set to 'off'
ページャーが off の時に引数なしで実行すると環境変数 PAGER の値を利用します。
bioruby> pager
Pager is set to 'less'
- doublehelix(sequence)
DNA 配列をアスキーアートで表示するオマケ機能があります。適当な塩基配列 seq を二重螺旋っぽく表示してみましょう。
bioruby> dna = getseq("atgc" * 10).randomize
bioruby> doublehelix dna
ta
t--a
a---t
a----t
a----t
t---a
g--c
cg
gc
a--t
g---c
c----g
c----g
(略)
- midifile(midifile, sequence)
DNA 配列を MIDI ファイルに変換するオマケ機能があります。適当な塩基配列 seq を使って生成した midifile.mid を MIDI プレイヤーで演奏してみましょう。
bioruby> midifile("midifile.mid", seq)
Saving MIDI file (midifile.mid) ... done
以上で BioRuby シェルの解説を終わり、以下では BioRuby ライブラリ自体の解説を行います。
Bio::Sequence クラスは、配列に対する様々な操作を行うことができます。簡単な例として、短い塩基配列 atgcatgcaaaa を使って、相補配列への変換、部分配列の切り出し、塩基組成の計算、アミノ酸への翻訳、分子量計算などを行なってみます。アミノ酸への翻訳では、必要に応じて何塩基目から翻訳を開始するかフレームを指定したり、codontable.rb で定義されているコドンテーブルの中から使用するものを指定したりする事ができます(コドンテーブルの番号は http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Taxonomy/Utils/wprintgc.cgiを参照)。
#!/usr/bin/env ruby
require 'bio'
seq = Bio::Sequence::NA.new("atgcatgcaaaa")
puts seq # 元の配列
puts seq.complement # 相補配列 (Bio::Sequence::NA)
puts seq.subseq(3,8) # 3 塩基目から 8 塩基目まで
p seq.gc_percent # GC 塩基の割合 (Integer)
p seq.composition # 全塩基組成 (Hash)
puts seq.translate # 翻訳配列 (Bio::Sequence::AA)
puts seq.translate(2) # 2文字目から翻訳(普通は1から)
puts seq.translate(1,9) # 9番のコドンテーブルを使用
p seq.translate.codes # アミノ酸を3文字コードで表示 (Array)
p seq.translate.names # アミノ酸を名前で表示 (Array)
p seq.translate.composition # アミノ酸組成 (Hash)
p seq.translate.molecular_weight # 分子量を計算 (Float)
puts seq.complement.translate # 相補配列の翻訳
print, puts, p は内容を画面に表示するための Ruby 標準メソッドです。基本となる print と比べて、puts は改行を自動でつけてくれる、 p は文字列や数字以外のオブジェクトも人間が見やすいように表示してくれる、という特徴がありますので適宜使い分けます。さらに、
require 'pp'
とすれば使えるようになる pp メソッドは、p よりも表示が見やすくなります。
塩基配列は Bio::Sequence::NA クラスの、アミノ酸配列は Bio::Sequence::AA クラスのオブジェクトになります。それぞれ Bio::Sequence クラスを継承しているため、多くのメソッドは共通です。
さらに Bio::Sequence::NA, AA クラスは Ruby の String クラスを継承しているので String クラスが持つメソッドも使う事ができます。例えば部分配列を切り出すには Bio::Sequence クラスの subseq(from,to) メソッドの他に、String クラスの [] メソッドを使うこともできます。
Ruby の文字列は 1 文字目を 0 番目として数える点には注意が必要です。たとえば、
puts seq.subseq(1, 3)
puts seq[0, 3]
はどちらも seq の最初の3文字 atg を表示します。
このように、String のメソッドを使う場合は、生物学で普通使用される 1 文字目を 1 番目として数えた数字からは 1 を引く必要があります(subseq メソッドはこれを内部でやっています。また、from, to のどちらかでも 0 以下の場合は例外が発生するようになっています)。
ここまでの処理を BioRuby シェルで試すと以下のようになります。
# 次の行は seq = seq("atgcatgcaaaa") でもよい
bioruby> seq = Bio::Sequence::NA.new("atgcatgcaaaa")
# 生成した配列を表示
bioruby> puts seq
atgcatgcaaaa
# 相補配列を表示
bioruby> puts seq.complement
ttttgcatgcat
# 部分配列を表示(3塩基目から8塩基目まで)
bioruby> puts seq.subseq(3,8)
gcatgc
# 配列の GC% を表示
bioruby> p seq.gc_percent
33
# 配列の組成を表示
bioruby> p seq.composition
{"a"=>6, "c"=>2, "g"=>2, "t"=>2}
# アミノ酸配列への翻訳
bioruby> puts seq.translate
MHAK
# 2塩基を開始塩基として翻訳
bioruby> puts seq.translate(2)
CMQ
# 9番のコドンテーブルを使用して翻訳
bioruby> puts seq.translate(1,9)
MHAN
# 翻訳されたアミノ酸配列を3文字コードで表示
bioruby> p seq.translate.codes
["Met", "His", "Ala", "Lys"]
# 翻訳されたアミノ酸配列をアミノ酸の名前で表示
bioruby> p seq.translate.names
["methionine", "histidine", "alanine", "lysine"]
# 翻訳されたアミノ酸配列の組成を表示
bioruby> p seq.translate.composition
{"K"=>1, "A"=>1, "M"=>1, "H"=>1}
# 翻訳されたアミノ酸配列の分子量を表示
bioruby> p seq.translate.molecular_weight
485.605
# 相補配列を翻訳
bioruby> puts seq.complement.translate
FCMH
# 部分配列(1塩基目から3塩基目まで)
bioruby> puts seq.subseq(1, 3)
atg
# 部分配列(1塩基目から3塩基目まで)
bioruby> puts seq[0, 3]
atg
window_search(window_size, step_size) メソッドを使うと、配列に対してウィンドウをずらしながらそれぞれの部分配列に対する処理を行うことができます。 Ruby の特長のひとつである「ブロック」によって、「それぞれに対する処理」を簡潔かつ明瞭に書くことが可能です。以下の例では、subseq という変数にそれぞれ部分配列を代入しながらブロックを繰り返し実行することになります。
-
100 塩基ごとに(1塩基ずつずらしながら)平均 GC% を計算して表示する
seq.window_search(100) do |subseq| puts subseq.gc_percent end
ブロックの中で受け取る部分配列も、元と同じ Bio::Sequence::NA または Bio::Sequence::AA クラスのオブジェクトなので、配列クラスの持つ全てのメソッドを実行することができます。
また、2番目の引数に移動幅を指定することが出来るようになっているので、
-
コドン単位でずらしながら 15 塩基を 5 残基のペプチドに翻訳して表示する
seq.window_search(15, 3) do |subseq| puts subseq.translate end
といったことができます。さらに移動幅に満たない右端の部分配列をメソッド自体の返り値として戻すようになっているので、
-
ゲノム配列を 10000bp ごとにブツ切りにして FASTA フォーマットに整形、このとき末端 1000bp はオーバーラップさせ、10000bp に満たない 3' 端は別途受け取って表示する
i = 1 remainder = seq.window_search(10000, 9000) do |subseq| puts subseq.to_fasta("segment #{i}", 60) i += 1 end puts remainder.to_fasta("segment #{i}", 60)
のような事もわりと簡単にできます。
ウィンドウの幅と移動幅を同じにするとオーバーラップしないウィンドウサーチができるので、
-
コドン頻度を数える
codon_usage = Hash.new(0) seq.window_search(3, 3) do |subseq| codon_usage[subseq] += 1 end
-
10 残基ずつ分子量を計算
seq.window_search(10, 10) do |subseq| puts subseq.molecular_weight end
といった応用も考えられます。
実際には Bio::Sequence::NA オブジェクトはファイルから読み込んだ文字列から生成したり、データベースから取得したものを使ったりします。たとえば、
#!/usr/bin/env ruby
require 'bio'
input_seq = ARGF.read # 引数で与えられたファイルの全行を読み込む
my_naseq = Bio::Sequence::NA.new(input_seq)
my_aaseq = my_naseq.translate
puts my_aaseq
このプログラムを na2aa.rb として、以下の塩基配列
gtggcgatctttccgaaagcgatgactggagcgaagaaccaaagcagtgacatttgtctg
atgccgcacgtaggcctgataagacgcggacagcgtcgcatcaggcatcttgtgcaaatg
tcggatgcggcgtga
を書いたファイル my_naseq.txt を読み込んで翻訳すると
% ./na2aa.rb my_naseq.txt
VAIFPKAMTGAKNQSSDICLMPHVGLIRRGQRRIRHLVQMSDAA*
のようになります。ちなみに、このくらいの例なら短くすると1行で書けます。
% ruby -r bio -e 'p Bio::Sequence::NA.new($<.read).translate' my_naseq.txt
しかし、いちいちファイルを作るのも面倒なので、次はデータベースから必要な情報を取得してみます。